release

memento mori ep

 

2021年4月25日に新しいepをリリースしました。今回の作品について、ライナーノーツを記します。

memento mori ep ライナーノーツ】 
 自分自身のやりたい事や、コロナ禍の影響がありM3でのリリースは前回から1年以上経過してしまいました。今回の作品に関してコロナの影響があったかと言われれば、「もちろん無いわけではないがそれ以上に個人的な気持ちの方が強い」というような感じです。(そもそも、個人的な気持ちが反映されない曲は無いですが…)
 作成した時期は前半2曲と後半3曲ですこし離れているので、曲調にだいぶ差があります。前半の2曲は意図的にテンションを上げて作成しました。後半の3曲は音数や楽曲全体のアンサンブルを上手く表現できることに意識を集中させました。差が出た理由ですが、前半の2曲は今までとはまた違う事にトライしたいと思ったからです。なので、若干肩に力が入っていたなと今は感じます。(それはそれで、面白いとも思いますが)後半の3曲は一旦落ち着いた状態になり、前半2曲とはちがう内容で、元々自分がやりたい事はなんだろうと考え、どちらかといえばオーセンティックな方向になりました。

1.triceps
 冒頭から最後まで常に何かしらの変化があり、飽きさせない様な曲を作りたいと考えました。また、意図的にBPMを早くしたり、派手な音色を使用して目立つような構成にしています。トラックの基本的な部分はソフトウエアで作成していますが、上物やエフェクト的に使用している音はmonotribeSH-01Aを使っています。名機monotron delayも使ってますね。
 タイトルの triceps “上腕三頭筋” の意味ですが、Bicepを最近よく聴いていているのと、サンプリングした声ネタがボクシングの試合のアナウンスだったので「上腕三頭筋だろう」と半分シャレで付けました(笑)

2.secretes adrenaline
 この曲もかなりハデハデになりましたね。ちょっとうるさすぎたかも知れません。でも、これくらいのハイテンションな曲もあっても良いかなと思います。格闘ゲームとかでありそうですし。
 シンセはmassiveを使っています。ギターは久しぶりに自分で弾きました。abletonは簡単にサンプルを編集できるので、良い感じに撮れたパワーコードのテイクを切り貼りしてトラックに追加しました。また、隠し味的に、メインのメロディもシンセと一緒にギターも気持ちユニゾンするような感じで弾いています。
 作っていて一番楽しかったのは、ドラムのフィルをグリッチさせるところですね。初めてトライしましたが、コツを掴むとパターンを考えられる様になりました。新しい事にトライするとこうやって一つ一つ自分のスキルが増えていくのは良いなと。

3.lithium carbonate
 一旦気持ちをリセットして、少しオールドスクールな雰囲気にトライしようと思い作り始めました。上物のシンセは、TAL-U-No-LXSunrizerを使っています。TR-909が好きなので基本のドラムはそれを使い、もう一つはTR-707のキットを使って別のリズムを組んだり、時々タムなどを鳴らして全体的な変化が出るようにしました。
 音の処理に一番時間をかけたトラックです。まだまだ技量が足りないので理想には届いていませんが、ドラムとベースが上物に埋もれずに、しっかりと響く様意識してミックスしました。(主に、EQ,EQ,コンプ,EQ,サイドチェン,EQ,EQ,,,,,,,,,,,)
 その甲斐あってか、今回のEPでは一番気に入っている曲です。

4.acid to on do
 3曲目と並行して作っていて、片方が素直な構成なので少しひねった感じのにしようと思いました。ドラムサンプルのフォルダから良さそうなのを探して、サンプルを必要な帯域の分だけにカットして、リバーブのエフェクトを入れたり抜いたりして加工して行きました。キックと上物まで組んだところで、アシッドベースを入れてみると意外とハマり、この方向でいこうと決めました。因みにアシッドベースは303クローンではなく、Sylenth1に入っているプリセットから音色やパターンを編集して作りました。当然、フィルターやエンベロープの挙動は大分違いますが、これはこれで面白いなと思います。
 このタイトルもただのシャレで、リズムパターンが音頭っぽくなったので、”アシッド音頭”です(笑) 

5.memento mori
 僕が取り組んでいる課題の1つに、「1台のシンセの重ね録りで、どこまで表現できるか」と言うのがあって、これもそのシリーズの1つです。
 今回は、minilogue xd 1台でmidiで鳴らしつつ音色変化させたり、実際に弾いたテイクを重ねています。
 あまり手弾きは得意では無いのですが、曲作りを続けている中で少しずつ慣れてきて、”この音の次はこの音が自分は気持ちいい”と言うのがスッと出てくる様になってきました。
 minilogue xdはとても良いシンセだと思います。素直な波形の音にエフェクトを入れるだけですぐに仕上がった音が作れますし、3つのオシレーターのmix具合を調整しLFOを活用することで、面白い音も作れると思います。とてもポテンシャルが高いシンセなので、これからも長く付き合っていきたいと感じました。

 ジャケットについてですが、渋谷スクランブルスクェアの展望台へ行く機会があり、そこから撮影しました。オープンエアな空間で開放的でしたね。とても良いところなので、機会があれば行ってみるといいと思います。
 写真に各トラックのアルファベットを配置しました。アルファベットを文字が並んだ言葉としてではなく、フォント単体のアイコンとして扱い、図像を構成し、別の何かを抽出させることを意図しました。
 まぁ、よくある手法だと思いますし、本当はここからもう1つ2つ面白いアイディアを追加できればなと思いますが、また次のジャケットでトライしてみます。
 


 どの曲も、それぞれタイプが違います。1曲からでも購入できますので気になったのがありましら、ぜひ、よろしくお願いします。